慰謝料額の算定には,自賠責基準,任意保険基準,裁判基準の3つの基準があります。金額としては,後に行くほど高額になります。自賠責基準とは,被害者に支払われるべき最低限の基準を一律的に定めたものです。任意保険基準とは,各損害保険会社が内部で定めた慰謝料額の基準です。裁判基準とは,訴訟によって裁判所が認める慰謝料額の基準です。弁護士が事件に関わった場合,裁判基準を基にして慰謝料額を請求していきます。
まず,自賠責基準では,入通院の慰謝料額が1日4200円と決まっています。4200円に入通院期間の日数を掛けた金額が慰謝料額になりますが,ここで入通院期間とは,実際に治療した日数の2倍と治療期間のうち少ない方をいいます。これは,通院の頻度が少ない場合に慰謝料額が過大になることを防ぐためです。
任意保険基準は,各保険会社が内部的に定めたものであり公開されてはいませんが,次の裁判基準に比べると相当程度低い金額であるのが実情です。
裁判基準については,入院期間と通院期間の組み合わせで基準額が決まりますが,計算表が公開されており,ご自分で調べることが可能です。裁判基準は,前記2つの基準よりも高額であり,例えば入院1か月,通院1か月の治療を要した被害者の場合,自賠責基準では25万2000円(4200円×60日)になりますが,裁判基準では77万円になります。なお,通院頻度が少ない場合,実通院日数の3.5倍を通院日数とみなして計算します。
したがって,自賠責基準程度の額では和解せずに,弁護士に相談したうえで,裁判基準に近い額で和解するようにするべきでしょう。